オーストラリアでの起業

ビジネス?趣味?

ビジネスになりそうなアイデアを思いつき起業を考えている場合、ビジネスとして実行可能かどうかのプランニングが必要です。そのアイデアをご自身の趣味として、個人への物品販売やサービスを行っている限りは、タックスリターンの際に収入や支出を申告する必要はありません。しかし、趣味であればABNの取得要件を満たさないため、法人との取引は条件が厳しく、逆に、趣味であっても定期的に一定額以上の収益があるなどして、ビジネスであるとみなされた場合には税金を支払う必要があります。また、ビジネスとして起業すると、損失を他の収入(給与収入等)と相殺することが出来ますが、売上が$20,000に届かないなど基準を満たさない場合には相殺できません。

起業の手順

  1. 事業形態を決める
    • ビジネスとして登録するには、まず事業形態を決めなければなりません。主な事業形態として、個人事業、パートナーシップ、トラスト、株式会社などがありますが、詳細はこちらを参考にしてください。
  2. 登録や許可
    • ビジネスとして最低限必要な登録はAustralian Business Number (ABN)とTax File Number (TFN)の二種類です。また事業形態により、Business NameやASICへの登録が必要になります。ABNやBusiness Nameの詳細については、こちらを参考にしてください。
    • 売上が$75,000を超える場合はGSTの登録、従業員を雇う場合はPAYGの登録が必要です。
    • 食品を販売する場合は、Registration /Notification of a Food Businessが必要です。登録内容はLocal Councilにより異なります。
    • 音楽を流す場合はMusic Licenceが必要です。
    • 酒類を販売する場合はLiquor Licenceが必要です。
    • インターネットのドメインを取得する場合はドメインレジストラを経由して行います。.com.auや.co.jp等の取り扱いやドメインの登録とサーバー管理が一括してできるなど、経由する会社によって違いがありますので、ご自身の希望で選ぶことをお勧めします。
    • 個人の資産と区別するため事業用に銀行口座を開設する事をお勧めします。
    • 新たに作成したトレードマークなどはIP Australiaで登録できます。知的財産保護のため登録しおくと良いでしょう。

法的義務の遵守

起業して事業を運営するにあたっては、法令遵守が求められます。一般的な法的義務として、従業員に関する法的義務(最低賃金、有給休暇、スーパーアニュエーション、労働災害保険等)、顧客に対する法的義務(賠償責任保険等)、税務申告と納税の義務(会計の記録、IAS/BAS、タックスリターン、FBT リターン、Payroll Tax等)等がありますので、念頭に置いておくと良いでしょう。

以上の情報以外にも起業する際の情報が詰まったスマホ用アプリをASICが提供していますので参考にしてください。こちらからダウンロードできます。(2022年7月に配布終了)

起業にあたってはアイデアに次いでプランニングがとても大切です。起業する際の事業形態や初期投資のタイミングによっては支払う税金が大きく変わることもありますので、起業をお考えの際はこちらにお問い合わせください。