飲食を伴うミーティング等と経費 - クリスマスパーティー、忘年会、新年会

Entertainmentか Refreshmentsか

飲食を伴うミーティングは、社内や顧客と円滑にコミュニケーションをとる為にビジネスに必要な経費であると考えられると思います。しかしながら、実際にはミーティングの際の飲食が“Entertainment”とみなされると、課税控除の対象となる経費として計上することは出来ません。但し、飲食が会社内のキッチンにあるコーヒーやスナック等の軽食であればEntertainmentではなくRefreshmentsとみなされ、課税控除の対象となる経費として計上する事が出来ます。ATOのガイドラインによると、Entertainmentに該当するかどうかは、A.目的、B.程度、C. 時間、D. 場所の四つの項目を基に判断します。

Entertainmentに該当する要件

Entertainmentに該当すると判断されやすい要件としては、

A. 目的:飲食が、社会的交流を目的として従業員が楽しめるよう提供されたものである(就業時間内に仕事が捗るように提供されたコーヒーやスナック等はRefreshmentsとみなされやすい)

B. 程度:提供された料理等が手の込んでいるものである

C. 時間:就業時間外である(就業時間中であればRefreshmentsとみなされやすい)

D. 場所:提供された場所がレストランやファンクションルームである(オフィス内であればRefreshmentsとしてみなされやすい)

例えば、仕事の合間に、従業員2,3人が近くのカフェでミーティングをした際のコーヒー代はRefreshmentsとみなされるかもしれませんが、顧客と洒落たレストランでランチを食べながらの打ち合わせはEntertainmentとみなされます。また、オフィスで顧客と打ち合わせ時に出したコーヒー代はRefreshmentsとみなされますが、仕事終わりに従業員を連れて一杯飲みに行った場合はEntertainmentとみなされます。

EntertainmentとFringe Benefits Tax(FBT)の対象

飲食が従業員や従業員の関係者を対象としたEntertainmentとみなされた場合、そのEntertainmentは従業員に対してのFringe Benefit (みなし給与)と考えられます(Fringe benefit についてはこちらから)。Fringe Benefitを従業員や従業員の関係者へ供与した場合、Fringe Benefits Tax(FBT)の課税対象となります。Fringe Benefitを供与する事は所得税逃れの抜け道として考えられているため、FBTは高い税率が設定されており、Fringe Benefitsとされた経費と同額に近い額を支払わなければなりません。但し、その飲食がEntertainmentであり、且つFringe Benefitsに該当しても、以下のような要件でMinor Benefitsとみなされれば、FBT の対象からは免除されます。

  • 一回当たりのFringe Benefitsが一人当たり$300未満の場合で;
    • かつ、定期的に供与されていない場合
    • もしくは、類似するFringe Benefitsの年間総額が低い場合
  • 一人当たりのFringe Benefit額を算出しにくい場合
  • 非常事態時に緊急的に供与されたFringe Benefitの場合

例えば、レストランで開催した、従業員とその家族等が参加する、年に一度のパーティーへの支出は、Entertainmentに当たりFringe Benefitに該当しますが、それぞれ一人当たりが受けたFringe Benefitsが300ドル未満の場合はFBTの対象から免除されます。また、社内にて就業時間中に行われた、従業員のみが参加するパーティーへの支出もEntertainmentに該当しますが、Minor BenefitsとしてFBTの対象から免除されます。

なお、Entertainmentに於ける飲食の提供以外にも、クリスマスや誕生日に従業員へ贈られたプレゼント等もFringe Benefit に該当しますが、これもまた300ドル未満であればFBTの対象からは免除されます。

課税控除とFBT

前項で述べた通り、Entertainmentとみなされる支出は課税控除として計上する事はできません。また、GSTを登録していてもEntertainmentに対する支出に含まれるGSTをクレームする事はできません。しかし、そのEntertainment がFringe Benefitに該当しFBTを支払った場合は扱いが異なります。Fringe Benefitsとされた経費及び支払ったFBTは課税控除として計上できるようになり、また、GSTを登録している場合はその支出に含まれるGSTをクレーム出来るようになります。

課税控除可能かどうか   FBTの対象かどうか 
 飲食を提供する状況 従業員への提供 顧客への提供 従業員への提供従業員の関係者への提供
社外での忘年会や新年会 控除不可控除不可FBT対象 ($300未満であれば免除)FBT対象 ($300未満であれば免除)
オフィスでのコーヒーやスナック控除可能控除可能FBT対象外FBT対象 ($300未満であれば免除)
オフィスでのクリスマスパーティー控除不可控除不可FBT対象 (就業時間中であれば免除)FBT対象 ($300未満であれば免除)
オフィスでの不定期な就業時間中の軽食やランチミーティング控除可能控除不可FBT対象外FBT対象 ($300未満であれば免除)
カフェでのミーティングの際のコーヒーやランチ控除不可控除不可FBT対象 ($300未満であれば免除)FBT対象 ($300未満であれば免除)
レストランでのビジネスランチやパーティー控除不可控除不可FBT対象 ($300未満であれば免除)FBT対象 ($300未満であれば免除)
出張中の飲食控除可能控除不可FBT対象外FBT対象 (年間$300未満であれば免除)
課税控除とFBT

Taxation Ruling TR 97/17 – Income tax and fringe benefit Tax: entertainment by way of food or drink